独自の強み-更に詳しく
【なぜ海南省を選ぶのか】
2020年6月1日、中国共産党中央国務院は「海南自由貿易港建設総体方案」(以下「総体方案」)を発表し、ハイレベルの自由貿易港に相応しい政策制度体系の構築を推進し、海南自由貿易港を中国の新時代の対外開放をリードする鮮明な旗印と重要な開放門戸にすることを目指している。
「総体方案」では3段階の発展目標を提案している。2025年までに、貿易及び投資の自由化・利便化を重点とする自由貿易港政策制度体系を初歩的に確立し、ビジネス環境が全体的に中国の一流レベルに達し、市場主体が大幅に成長し、産業競争力が著しく向上し、リスクの予防と管理が強力かつ効果的になる。2035年までに、自由貿易港の制度体系と運営モデルがより成熟し、自由、公平、法治、高水準のプロセス規制を特徴とする貿易・投資ルールが基本的に構築され、貿易の自由化・利便化、投資の自由化・利便化、国際資本移動の自由化・利便化、人員の出入国の自由化・利便化、物流や輸送業務の自由化・利便化、データの安全で秩序ある移動を実現する。今世紀半ばまでに、国際的に強い影響力を持つハイレベルの自由貿易港を全面的に完成させる。
更に「総体方案」は、税制優遇措置、国際資本移動の自由化・利便化、人員の出入国の自由化・利便化、物流や輸送業務の自由化・利便化、現代的な産業システムの発展などの制度構築を提案しており、海南自由貿易港における市場関係者の取引を容易にすると同時に、各種の市場関係者の活力を大いに刺激することになる。
2022年1月1日、「地域的な包括的経済連携協定（RCEP）」が発効した。RCEPは、ASEAN10カ国に中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国を加えた計15カ国のメンバーが共同で協議した貿易利便化、投資利便化、関税優遇、国民待遇などに関する一連の互恵協定で、世界で最も経済・貿易規模が大きく、最も発展の可能性がある自由貿易区の正式発足を意味し、これにより、海南自由貿易港の対外投資により多くのチャンスと利便性をもたらした。
【立地の優位性】
海南省は華南経済圏、北部湾経済圏、ASEAN（東南アジア諸国連合）経済圏及び東南アジア経済圏の中心にあり、中国が東南沿海とASEAN、東南アジアを結ぶ地域海運のハブであり、太平洋とインド洋に面する重要な対外開放の門戸である。
海南省は中国の最南端に位置し、グローバルな視点から見ると、中国と東南アジアの2つの最も活発な地域を結ぶ中心点にある。海南から4時間のフライトでアジアの21の国と地域、世界人口の47％、世界のGDPの30％をカバーすることができ、8時間のフライトで59の国と地域、世界人口の67％、世界のGDPの41％をカバーすることができる。
●外部循環の要
東南アジアとの協力に大きな利点がある。 「一帯一路」の戦略拠点及び西部陸海新ルートの重要な拠点である海南省は、中国で最も東南アジアに近い省でもあり、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナムなどと海を隔てており、4時間の飛行経済圏内に位置し、東南アジア地域との協力における大きな優位性を有している。
●内部循環の要
中国の珠江デルタの経済発達地域に近く、香港、マカオ、深セン、広州の1.5時間の飛行経済圏内に位置し、資金、技術、人材支援を受けることができる。海南島の北部と広東省の雷州半島を隔てた瓊州海峡との間の距離は約18海里で、海南島と本土の間の「海上回廊」であり、北部湾と南海の間を結ぶ航路の役割も果たしている。
【立法ガイドライン】
●立法概要
2021年6月10日、「中華人民共和国海南自由貿易港法」が可決、「海南自由貿易港国際船舶条例」、「海南自由貿易港社会信用条例」、「海南自由貿易港ビジネス環境最適化条例」、「海南自由貿易港公正競争条例」などの関連法規が相次いで公布された。
●自己決定権の改革
海南自由貿易港は憲法と法律行政法規の基本原則に従うことを前提に、海南自由貿易港の規則を制定することができる。海南自由貿易港の規則は、海南省の実際のニーズに応じて、法律、行政法規の一部に修正を加えることができる。
●海南自由貿易港法の４つの目玉
原則的、基礎的な位置づけを堅持し、基本的な枠組みと重要な制度に着目し、海南自由貿易港建設の指導メカニズムと海南自由貿易港建設に適合する行政管理体制を確立することを規定している。
海南自由貿易港法は、「一線開通、二線管理」といった貨物貿易の監督管理モデルを確立し、ネガティブリスト外の越境サービス貿易については、内外一致の原則に基づいて管理する。
簡易課税制度、ゼロ関税、低税率の原則に基づき、海南自由貿易港閉鎖時および閉鎖後の税制簡素化の要求を明確にし、関税の免除状況、貨物の本土と海南自由貿易港間の出入の税収手配及び条件に合う企業と個人に対し、所得税の優遇を実施する。
海南自由貿易港は、最も厳格な生態環境保護制度を実施しており、環境保護目標の達成状況に対する一票否定制と生態環境損害に対する終身責任追及制度を実施している。
【特別税制】
海南自由貿易港建設の各段階に応じ、ゼロ関税、低税率、簡易課税制度を段階的に実施する。
低関税は海外から高品質の商品、優秀な人材と企業を海南に誘致することが期待できる。ゼロ関税、低税率などの優遇政策はより全面的で詳細である。付加価値税、消費税などの税制は簡素化され、企業はさまざまなコストを削減できる。
●ゼロ関税
海南島全島の税関閉鎖の実施前、「ゼロ関税」で管理されている輸入商品と物品は、輸入関税、輸入関連の付加価値税及び消費税が免除される。全島的な税関閉鎖と税制の簡素化後は、海南自由貿易港への輸入が許可されている輸入課税商品リスト外の商品については、輸入関税が免除される。
●低税率
海南自由貿易港で登録され、実質的に営業している奨励産業の企業は、15％の企業所得税の軽減税率が適用される。
海南自由貿易港に設立された観光業、現代的サービス業、ハイテク産業の企業は、2025年以前の新規海外直接投資による所得に対する企業所得税が免除される。
企業の適格な資本支出については、支出した期間において、税引き前の一括控除または加速償却が認められる。
海南自由貿易港で働く優秀人材や希少な人材については、個人所得税のうち15％を超える実効部分が免除される。
●税制の簡素化
全島の税関閉鎖時、付加価値税、消費税、車両購入税、都市維持建設税、教育割増金などの税金は簡素化され、小売りの段階で課税される。
本土から海南自由貿易港に入港する商品には、国務院の関連規定に基づき、徴収された付加価値税と消費税が還付される。
【重要政策】
●貿易政策
海南省は3つの「ゼロ関税」リストを発表し、副資材、自用生産設備の「ゼロ関税」政策をダイナミックに調整し、適用商品範囲と適用対象の拡大を推進した。国際的で高水準の経済貿易ルールを標準化するため、海南省は20の措置を打ち出し「地域的な包括的経済連携協定（RCEP）」実施の新たなチャンスを掴み、また「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」と積極的に連携し、一部の輸出入貨物管理措置を緩和する試行を行った。
●投資政策
海南省は外商投資参入特別管理措置（ネガティブリスト）を発表し、海南電子処方センター、海南国際文物芸術品取引センターなどいくつかの重要案件を実施し、非初回臨床必要医薬品・医療機器の認可権、種子生産・経営許可証の発行権限など10項目余りの許可最適化事項を推進した。海南省が外商投資を奨励する産業リストは全国共通リストから72項目増加し、総項目数は引き続き全国トップを維持している。
●財税政策
海南省は、所得税に関する「2つの15％」優遇政策、海外直接投資による所得に対する企業所得税の免除、設備投資の税引前一括控除または減価償却費の前倒し控除、国家級展示会における海外展示品の輸入・販売に対する免税、国内貿易と外国貿易を同一船舶で輸送する内航船への保税油の補給などの政策を発表した。
●金融政策
海南省は、資金の「電子包囲網」建設案の形成を検討しており、多機能自由貿易口座システムの構築を推進している。
海南省金融監督局は率先して「海南省適格外国人有限責任組合員（QFLP）残高管理制度試行規則」を発表し、金融業の対外開放を促進し、貿易投資の自由化・円滑化に貢献している。洋浦経済開発区でQFLP残高管理制度を試行し、外資をよりよく「誘致」し、海南を海南省と中国における外資のゲートウェイとし、外資の越境投資・融資ルートを拡大させた。
●海運・航空政策
海南省は「中国洋浦港」の船籍港の建設を加速させ、累計で38隻の国際船舶が登録され、国際航行船舶の総トン数は全国2位に躍進した。また、瓊州海峡の港湾と航行の一体化を加速し、港湾の機能配置を調整・最適化した。海南省はすでに中国で唯一、第三、第四、第五、第七航空権を同時に開放した省となっており、中国航空権の対外開放の最高レベルに達している。
●人材政策
海南省は自由貿易港のハイレベル人材分類基準を発表し、外国人の就労許可と居住許可の「2つの証明」の統合を革新的に推進した。
●データの流通
海南省はデータ共有を着実に推進し、越境交流専用チャンネルの試行プロジェクトを整然と実施し、国際海底ケーブルの建設を推進し、工業分野のアウトバウンドデータの安全管理メカニズムの構築を模索し、ゲームの国際データセンターの試行プロジェクトの推進を加速した。